仕事の問題地図
本書を読むきっかけ
今とにかくい仕事が忙しい。この感想は真実かどうかわからないが少なくとも私はそう感じている。この忙しさをどうやって解決しようか、そのヒントを得るべくこの本を手に取った
全体を通して思ったこと
本書をざっと読んでみた。一貫して言われていることは**だって、人間だもの**ということ。人間だから仕方がないということが仕事の中には多く存在するんだよということが指摘されている。仕事をするのは人間だからうまくいかないこともあるということだ。
それをどう解決するか一つずつ見ていく。
構成
タイトルが仕事の問題地図というだけあって、1章、2章ではなく、1丁目、2丁目というバス停の区切りになっていて、そのバスの行き先は「進捗しない」仕事、「ムリ・ムダだらけ」の仕事になっている。なかなかユニークだ。
1丁目 計画不在
問題点
期限が決まっているにも関わらず計画が立てられていないということはないだろうか?ここではその理由として3つ挙げられている
- 勘でなんとかなるだろうと思っている
- 計画の標準形がない
- やるべきことがわかっていない
私の経験上、3. やるべきことがわかっていないが一番多い。
実現するための手順・段取りがわかっていない状態で計画を立てるのは至難の技だ。
対策
対策としては以下の2点がある
- 構造化する
- 計画表を書いて周りに相談する
構造化する
まずはやるべきことをブレイクダウンしながら構造化する。そうすることで具体的にやるべき作業とそれにかかる工数が見えてくるだろう。計画表を書いて周りに相談する
下手でもいいから計画書を書いて進捗を確認する。毎日計画通りにいっている、いっていないを確認することで、早めに対策ができるようになる。
この2点だけでも実施できればだいぶ違うのではないだろうか。
2丁目 進捗不明
問題点
進捗がわからないことはよくある。どうなっているんだろうと思ってもなかなか聞けなかったりする。本書では報連相がない、誰もフォローしないなどを挙げているが、根本的な問題は先程も書いた言いづらい、聞きづらいということだ。
対策
気軽に相談できる、報告できる関係を築いておくことがとても重要だということだ。ふと気になった時に聞ける、報告しなければと思った時に言える関係性が重要だ。
そのためにはどうすれば良いだろうか。上司、部下にわけて考えてみる。
- 上司
- 感情的にならない
- 部下の立場に立って物事を考える
- 自ら積極的に動き、部下との信頼関係を築く
- チームとして働いているということを意識する
- 部下
- 仕事に対して前向きに取り組む
- 仕事に取り組む姿勢で上司との信頼関係を築く
- チームとして働いているということを意識する
信頼関係とチームとして働いているんだという認識が重要だと思う。
それだけですぐコミュニケーションが取れ、進捗も明らかになり計画通り進めることができるだろう。
3丁目 一体感がない
問題点
一体感は難しい。自分のチームは職種が同じメンバーがいない。
ディレクター、フロントエンドエンジニア、サーバーサイドエンジニアの3人というチーム構成で、お互い担当すべき箇所が違っている。
エンジニア同士はまだ連携して進めていく部分はあるが、ディレクターはほぼないといっていい。
だがみな一生懸命がんばっていて、雰囲気は悪くない。このままでも問題なさそうだが…
対策
対策というほど問題を感じているわけではないが、仕事以外の面をお互い理解しておくとお互いの立場に立ちやすく、理解が捗る。
それだけで信頼関係が生まれ、コミュニケーションの問題は減るのではないだろうか。
4丁目 モチベーションが低い
これは非常に問題だ。まずは本書に書かれている原因と対策を見ていこう。
原因
あげられている原因は大きく3つ
- 信頼・愛着ゾーン
- 過剰期待ゾーン
- あいまいゾーン
1に関しては待遇以外における会社への愛情みたいなものがどれくらいあるかによってモチベーションに変化が現れるというもの。
愛情を持ってもらうにはどうすればよいだろうか。
そのためには
- キャリアプランにあった仕事(適材適所)
- 情報公開
- お互いを知る
により、一体感が生まれるようにするのがよい。
2は上司が「期待しすぎる」「夢のような話ばかりしている」ということがあるとやる気は失われてしまうというもの。
3は仕事、役割、目的が曖昧だったり不明瞭だったりするとやる気を無くしてしまうというもの。
皆目標に向かってがんばりたい、目標を達成するという充実感を味わいたい、という思いがありますからね。
対策
- キャリアプランにあった適材適所
- ストレッチしすぎない現実的な目標設定
- チーム内でお互いを知る
- 情報共有を行い、自分事とする
ここまで行えれば、モチベーションは下がることはないだろう。
5丁目 期限に終わらない
計画不在、進捗不明だったりするといつも期限に終わらない。そして同じことの繰り返しになってしまい何も改善しなくなってしまうだろう。
原因
- 計画に柔軟性がない
- 計画・管理が甘い
- 知識・スキルがない
- 過度な自責意識がある
対策
柔軟性がない → フレキシブルに対応
計画・管理が甘い → 有識者を交えてTODOをブレイクダウンし定期的に進捗を管理する仕組みを作る
知識・スキルがない → 外注する・コンサルティングなど、外部の力を借りる
などできると思うが、最後の「過度な自責意識」というのが真新しい。
自分で抱えすぎてしまい、人に助けてと言えなくなってしまう。こういった場合はどうすれば良いだろうか。
こういった場合はコミュニケーションできる場を作り、ちゃんと進捗を報告できるようにするしかないだろう。
6丁目 意見を言わない
お通夜みたいなミーティングありますよね。
上司としても1人で喋っていてとてもつまらないと思っています。リアクションもなく1人で喋っているのは相当ツラい…
ではなぜメンバーは意見を言わないのでしょうか。その原因がいくつかあげられています。
原因
- 意見を言う甲斐がない
- リーダーの独演会
- カタい雰囲気
- 何を言っていいのかわからない
- そもそも意見がない
- モチベーションが低い
- 言ったモン負け
対策
では意見を言いやすくするにはどうするのがよいか?
いくつか対策は書いてあるがまずはモチベーションがあがるようにするのが大事だと思う。
議論しようと言う姿勢だったり、自分の考えを伝えたいと言うような気持ちを持ってのぞめるようにチームを作っておくことが大事だと思う。
それでも意見を言いづらいと思う人がいる場合はファシリテータを設けると良い。司会進行しみんなに意見を求めるようにすれば、恥ずかしくて言えない・否定されるのが怖いから言えない、という人たちにも意見を言う機会を作ることができる。
モチベーションがあがるようにするのは普段のチーム作りが大事だた、ファシリテータを設けることはいつでも可能だ。
7丁目 有識者不在
7丁目は有識者不在というよりは会社独自の文化を大事にしすぎるとムダなことをたくさん行わなければならなくなっているということである。
車内にその道のプロがいなければ、社外と連携して色々吸収しよう。自分たちが知らないもっといい方法はたくさんあるということを理解しよう。
8丁目 抵抗勢力の壁
抵抗勢力、どこにでもいますが、年功序列の大企業にはたくさんいそうですね…
問題点
抵抗は2つ
- 現場からの抵抗
- シニア層からの抵抗
前者よりも後者の方が問題としては大きい。
役職定年間近の上がりきった人たち(ピーターの法則参照)はリスクを取らず、何もせず同じ毎日を過ごしていきたい。役職定年まで何も問題を起こさず過ごしたいだけなのである。 少しでもリスクがある場合は手を出さない。
こういう人たちにはどのように対処するのか。
対策
- あきらめる
- さらに役職が上の人に相談して物事を進める
わたしは正直ほぼあきらめているが、どうしてもそういう人たちを動かさないと行けない場合、こちらが正論を述べても間違いなく動かない。なので、さらに上の役職の人に相談して動かしてもらう以外に方法はない。
本書では人事制度を整えることも大事だと述べられている。確かにそういう人たちがのうのうと高給を貪ることができる人事制度自体が問題ではある。
ちなみに自分が働いている会社は降格制度がない。そのためぶら下がり放題なのである。
9丁目 対立を避ける
より良い仕事をするためには対立も必要。意見の対立があり、議論を重ねることで良いものが生み出されていく。
しかし対立を避けるというのはどう言う心境なのだろうか。
問題点
- 誰も反対意見を言わない
- 関係他部署の抵抗を素直に受け入れてしまう
- 上司やお客の理不尽な要求にNOと言えない
原因
本書では事なかれ主義が対立を避けている最たる原因だと記されている。
では事なかれ主義の文化はどのように形成されてしまうのだろうか。
いくつかあげられているが、
- なあなあな関係
- 心理的安全性がない
にまとめられると思う。
なあなあな関係
仲良し同士のチームだと、まぁいいじゃない、このままでもいい、あの人が言ってるんだったらいいんじゃないなどの考え方になってしまい、何も変化しない
心理的安全性がない
反対意見を言ったらどうなるかわからない。会社で働き続けられないかもしれないなど思わせるような組織の場合。
わたしが以前つとめていた会社での出来事だが、あまり仕事ができないチームの和を乱す業務委託のメンバーがいたのでいろいろ話あった結果、契約を更新しない決定をした。それを部門長に伝えたところ、「その判断はおかしい、継続させるべき」と言われ、さらになぜか「そんなことを言っていると自分が切られるぞ」と言われた。そんなことを言われるような会社では働いていられないと思い、その数ヶ月後わたしは会社を辞めたのだが、こういった状況では対立はもちろん、反対意見は言えない。
(最近は心理的安全性がないという言葉がバズワードのようになっており、ちゃんと定義を理解した方が良い。心理的安全性とは)
対策
対策としては、ただ一つ、対立というのは建設的な意見の交換であり、ケンカをしているわけではないと言うことを理解するということだけである。
10丁目 失敗しっぱなし
失敗することは恥ずかしい、人に知られたくない、なので誰にも共有しない。
失敗と向き合うのが怖い、なので見なかったことにする。
などの感情からか、失敗から学ばない組織がある。
結果として同じ過ちを繰り返し、組織として進歩しない。ビジネスもグロースしない。
どういった対処法があるだろうか。
問題点
失敗をほっておくと
- 同じ過ちを繰り返す
- 現在の状況が改善されない
- また同じ失敗を繰り返すかもしれないという不安がある
原因
前述した通り
- 共有するのが恥ずかしい
- 失敗と向き合うのが怖い
など。共有するのが恥ずかしいというのは、心理的安全性にも関わる。
失敗をちゃんと報告できるチームを作っておくこと。
対策
- 失敗を報告できる文化づくり、心理的安全性の確保
- 失敗は誰でもあるという考え方の共有
失敗や歴史から学ぶことは多い。有効活用していこう。
まとめ
だって人間だものというフレーズが多く出てきた本書だが、仕組みを作ることで人間だから仕方ない部分のフォローを行うことができる。
みんな違う人間なので、ある程度許容し個々の人間らしさを尊重し、人間らしさを組織の力に変えていけるよう心がけたい。
人と向き合うのは正直めんどくさい部分は多々ある。
でもそのを乗り越えてこそ真のリーダーに近づいていけるのだと思う。がんばろう。